Preprint server
高エネ物理学分野において1991年に立ち上げられたarXiv(「アーカイブ」と読む)が草分け的存在な存在 「プレプリント」はあくまでも、査読前のラフ原稿を速報的に共有することを目的としており、査読を通じて堅実な学問の蓄積を約束する「学術雑誌」を代替しようというものではありませんでした
プレプリントの性格が変わる一つの契機は、バイオや医学の分野におけるプレプリントサーバーの開始にありました。
特に医学の分野では、査読なしの言説が流通すると大きな問題が起こる可能性があります。このためmedRxivでは開始当初から、投稿されたプレプリントのスクリーニングを導入しています。
具体的には、外部の臨床科学者と、経験ある臨床系編集者が、投稿されたプレプリントについて、(1) 当該研究が倫理審査を通過しているか、(2) 患者の同意を得ているか、(3) 当該研究に関わる助成情報が全て公開されているかを確認します。そして、当該研究に社会的リスクを及ぼす懸念があると判断された場合は、medRxivのマネジメントチームが、公開見送りの判断をする場合もあります。
バイオ分野のbioRxivは2017年、医学分野のmedRxivは2019年 新型コロナウィルス感染症の大流行とともに、COVID-19関連の論文およびプレプリントが大きく伸びました。
Nature誌の6月の記事によると、2020年5月中旬にはCOVID-19関連の論文が約1.4万本、プレプリントが5万本弱発表されており、研究報告の実に1/4がプレプリントです。
多くがmedRxivに投稿され、それまで週あたり数十件程度であった同プレプリントサーバーへの投稿が、2020年1月から急速に伸び、5月中旬には週あたり500本以上の投稿となっています。そのうち8割が、COVID-19関連のプレプリントです。 査読付論文でも誤報はあるわけで、プレプリントだからいけないというものではないようです。
Annals of Internal Medicine誌に掲載されたCOVID-19関連の論文は、4件のみのサンプルから結論を導き出していたと批判され、2020年6月に取り下げられました。しかしその研究成果は一見、インパクトあるものであったため、論文取り下げ前に1万回以上ツイートされ、WHOも引用をしていたそうです。
論文が多すぎるので、迅速の査読の工夫が行われている
研究者が(査読者プールに参加している、していないに関わらず)、COVID-19関連のプレプリントをチェックし、その中で新型コロナウィルス感染症対策に特に重要なものを、可能な限り迅速に指摘することを求めています。
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